そこにある野生

 最初から完璧や正しくあることや十分であること、理想通りのものであることを求めすぎて、結局長い目で見たら自滅していくはめになる、なんていうパターンなんて、個人レベルの心理的な病理だけでなく、集団や社会レベルでも形を変えて色々な領域でありそうな話だ、と改めて思った。今の日本が抱えてるような諸問題がそれを要因に生まれているところがあるかどうかは、簡単には言えないだろうけど。たぶん実証的な検証はできないだろうし、ね。まあそんなこたぶっちゃけどうでもいいんですが。
 閑話休題。散歩がてら外に出て、ローソンでパンを買い、川の近くで食しておりましたら、どこからともなく猫が近寄って来て、微妙な距離から甘えるような鳴き声を出してきた。え?とほぼはじめての体験に戸惑う。さほど近くに寄って来るでもないし、誤魔化すような余所見もするのでいまいち意図が測りかねたけど、やはり食べ物が欲しいのだと考えて、迷いつつ少し千切ってやってみた。なかなか必死で食べる。飼い猫…ではないだろうけど、人馴れしてるのか、だからエサを強請るのか。飢え気味なのかな。と思ったけど、その体を見ても痩せているようには見えない。むしろ少し肥っているのでは?こちらがしゃがんで顔を近づけて眼を直視しようとすると、びくっと驚いて後ずさった。少し怯えた様子で、薄空色の目で見てくる。ってことは必ずしも人馴れしてるわけでもないのか。そんな怖いならなぜそもそも甘えてくるんじゃ、とも思ったけど普段猫との交流がないので、その怯えが普通の反応なのか、初対面(?)だからあちらも探り探りなのかよくわからず。そんなにしてまで食い物が欲しかったっていうのと、見かけ上は痩せてるわけでもない、ってことを考え合わせると、妊娠したメス猫だったりするのかも、とアブダクションしてみて、その生きるパッションに一抹の切なさを感じつつ餞別とばかりに最後のパン切れを与えて、さよならした。どうなんでしょうか、と思って調べたら一応出産シーズンに当てはまっている!ようなので、あながち間違いでもない推論かもしれません。ちゃんと観察すればもっと手がかりがあったかも。
 なんて、数日前にマンガ『とりぱん』読んで、影響されたのもあってか、たまたまの動物との触れ合いに仄かに感動して書いてしまいました。それほど動物好き、見たい、触れたい、とかってタイプでもないですけどね。興味はあるけど。