参考にしたこころの話のまとめ

 とりあえず何でもいいから、それなりに飲み込んだ内容を吐き出そうと思ってのまとめ。もっと学術的に正確な要約や詳しい解説はネット上にもいくらでも(信頼性とかは知らないが)あるのでそういうのを探してる人には不向きっていうかたぶん正確じゃないです。
 自分として、読んだ中で理解したのをつまるところこういうようなこと、というのを自分の理解の文脈に合わせて書いてみているだけですので、色々すみません。何でこんな言い訳のような前置きをしなければいけないと思っているのか自分でもよくわかりません。まあいいや。場合によって書き加えたり変えたりするかも。

(1)心はこうなってますよ系

 どうしたら心が健康な状態になるか、というより以前に、心の問題とか病気とか不健康な状態とか言われるもの、それはどういった状態なのか、何がそれを引き起こしている原因なのか、ひいてはそもそも心と呼ばれるものはどんなメカニズムなのか、などを明らかにしようと(何らかの観点から)分析したり、その解明や説明をしようとするもの。
 もちろんこれはどの臨床心理学の理論や療法、あるいは宗教や自己啓発w、であれ、多かれ少なかれ持っている面である。*1その中には他の多くの理論においても共有されている前提もあるし、後続の理論や何らかの観点から否定されている、あるいは異議を唱えられているものもある。また各々の理論を統合しようとする立場や、実用上の観点から折衷しようとする立場もある(っぽい)。

  • 精神分析学(心には無意識という領域があり、それが人間の行動や感情を実は支配している)

 フロイトユング集合的無意識)、アドラー(優越の欲求)、自我心理学-エリクソンアイデンティティ)、新フロイト派-ホーナイ(基本的不安)、対象関係論-クライン(原始的防衛機制)、自己心理学-コフート(自己愛)、またそれぞれの後継者がさらに発展させた考え方などなどなど盛りだくさん。
 「無意識」は共通の前提にしつつも、それが含む内容や重要視する点、などについては各々で相違があったりする。
 基本的には、過去の養育環境や友人などの社会関係がどうであったか、そこでどのような欲求や感情を抱き、どうそれらに対処したか、そしてどのように失敗したり満たされなかった欲求や傷つきがあったか、それを本人がどういった言葉で語ったりするのか、といった観点で、本人の記憶する物語としての来歴や「心的現実」を共感を通じて理解しようとしている、のだろう。
 そして分析をした個々のケースから、共通しているような心の有り様を見出して、各分析家が概念化や理論化を行っていると思われる。
 現代の科学哲学などの実証主義的な視点からは「実証性や再現性がない(あるいは薄い)」「無意識なんて思弁的な仮説でしかない」「心理療法としての効き目が他のものと大差ない」「反証できない妄想的解釈の押し付け」といった(傾聴に値する?)否定的意見がたくさんある様子。

 人が現実のできごとをどう認知するか、解釈するか、といった点に心理的問題の原因があるという理解のもと、それを自覚したり変容させることで問題を解消しようとする療法であり、理論。
 ベックの認知療法では、全か無か思考、べき思考、感情的決めつけ、などを代表的な不合理な考え方(認知の歪み)としてそれらの修正を行う。

 精神分析は心の病理を解明しようとして作り上げられた理論であるためか、「死の本能」といった概念などネガティブな人間観や、過去決定論的な側面も強い。それに対して、人間は自らの意思で幸福や自身の未来を切り開いていく力、創造性を秘めているからその発達を促進してやればいい、といった肯定的な人間観に基づいた心理学。
 個人を責任ある主体として見なし、人生の意味や価値を追求する(できる、せざるをえない)存在であることを強調している。
 マズロー、ロジャーズなど。哲学の実存主義や、実存主義を心理学に導入したフランクルなどの影響もあるが、区別される(?)。

  • 幸福否定の理論

 笠原敏雄氏による理論。能力的な成長や、嬉しさといった自然な感情など、本心が望んでいるはずのものを無意識的に否定してしまうことによって、何らかの心理的問題や「症状」を作り出してしまっているとするもの。
 これは、心が苦しいことに耐えることができないから、抑圧された気持ちやトラウマ的なものが心にあるから、病気になるといった現在主流派となっている理屈の、半ば逆を言っている。
 ただし、自分の本当の気持ちをごまかしたり嘘をつくことの心の健康への悪影響、望みの停止などについての言及、また症状を単なるネガティブなものと見なさず、成長や変化の発端(統合されていない無意識の表れ)として見る考え方は他の理論などでもあるので、根幹となる前提や考え方は異なっているものの、他の理論でこういった面が全く否定・排除されているわけでもないだろうとは思う。

 孤立したものとしての個人の心のあり方というより、対人交流の面に焦点をおいて分析して、それらを自我状態、ゲーム、といった概念で整理している理論。

(2)心の問題を治すにはこうすればいいんだよ系―治癒技法

(2-1)とにかくストレスや緊張から解放されてリラックス状態になりましょう系

(2-2)様々な感情や欲求、感じたままの気持ちを抑圧せず開放しましょう系

  • フォーカシング(身体で感じている感情とも違う感覚をゆったりと味わってみよう)
  • ゲシュタルト療法(「今ここ」で感じていることに気づき、全体性を回復しよう)
  • 各種ボディワーク
  • 音楽療法など芸術療法(芸術を通して言語化しにくい感じていることやイメージに気付いたり表現しよう)

(2-3)(ネガティブな)感情に振り回されないようにしましょう系
 これは(2-2)のものにもテクニック的には含まれているものもある。感情を解放はしつつもそれに踊らされることのないようにしようみたいな趣旨のもの。

  • 認知療法(出来事を感情のままに解釈するのをやめ、合理的に考えていこう)
  • マインドフルネス(苦しい感情でも無理矢理どうこうせずに、ありのままに流して観察しよう)

(2-4)現実の問題には現実的で合理的な対処の方法を考えて行動しましょう系

  • 解決指向(問題にうまく対処するにはどんな方法がいいか考えよう)
  • ソーシャルスキルレーニング(適切な社会的な振る舞いの解答例を学びましょう)

(3)読んだ書籍

 読みきったとは言い切れないものもあるが、心理関係のもので、学術的に理論の概要や研究を堅めに説明しているもの、実例などを分析的な視線から随筆的・物語的にも語っているもの、人生論的な色彩の強いもの、専門的な知見を生活の中で活かすようにするハウツーに近いもの、など。

現代の精神分析 (講談社学術文庫) 小此木啓吾
 完全に学術向けの精神分析の網羅的な解説。ちゃんと専門的に詳しく正確に、全体像を知りたい(でも文庫で)というなら最高の一冊?でも、こういう方面の知識はほぼないけど普通にわかりやすく自分の心も理解したりするのに一役買うもの希望、という人にはたぶん向かない。
精神分析入門 (岩波新書 青版 347) 宮城音弥
 これが最も一般的に、精神分析って何なの、というのを行き過ぎず概説してる。それに精神分析に盲目的な肩入れはせず、批判点もあげながらというバランス感覚。ちょっと古くて新しめの知見などがないのと、絶版になってしまっているっぽい。
「甘え」の構造 [増補普及版] 土居健郎
脳と人間-大人のための精神病理学 (講談社学術文庫) 計見一雄
コンプレックス (岩波新書) 河合隼雄
ユング (FOR BEGINNERSシリーズ) 大住誠
平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学 M.スコット・ペック
自己不安の構造 (1981年) (講談社現代新書) 石田春夫
対人恐怖 (講談社現代新書) 内沼幸雄
人生はセルフ・コントロール―落ちこまないための現実療法 ウィリアム・グラッサー
リラクセーション―緊張を自分で弛める法 (ブルーバックス) 成瀬悟策
ネガティブ・マインド―なぜ「うつ」になる、どう予防する (中公新書) 坂本真
人と“うまくやる"たった3つの心理テクニック ピープル・スキル (宝島SUGOI文庫) ロバート・ボルトン

*1:というか心理学といった学問分野とは必ずしも関係なく、人間はもともと他人や自分の心を理解するために何らかの言葉や枠組みを日常のレベルでも使う