アルバート・エリス 人と業績

アルバート・エリス 人と業績―論理療法の誕生とその展開

アルバート・エリス 人と業績―論理療法の誕生とその展開

論理療法(REBT)の創始者アルバート・エリスの業績についての本。理論や実践についてもかなり詳しく書かれてるけど、その辺りはセルフヘルプにはそんなに役立つってものでもないかなーという感じだからざっと読みだけど。根本的な考え方とかは知って損のない感じだった。
エリス本人の生涯についても最初に書いてあって、子供時代の親・病弱・内気の問題にも、聡明な考え方や行動で自律的に対処したという話で、しかもその章の最初に、幼少期の経験が自分の性格を作ったという「精神分析的な考え方」を否定するエリスの言葉が引用されててちょっと可笑しかった。
前にアドラー心理学の本をちょっと見たときにまんまそういう考え方が、一生変えられないぐらいの勢いで述べられてて、ショックというかうわーと思った記憶があるけど。でも自分も以前は、苦しいのが変えられないというか、生来のもので、親もおかしいからなんじゃないかとか少なからず思っていたところはあって、それで余計苦しくなっていた、と今は思えるんだけども。まー気質の遺伝みたいなものはあるらしいですが。
エリスの考え方というのが、人間は自己破滅を導くようなビリーフを持ってしまうことがあって、それは人間に非論理的な思考をしてしまう生物学的基盤があるから、というもの。それはまあそうなんだろうなあ、って何か簡単に納得してしまう。だって簡単にあーもう死のうとか本気じゃないとはいえ考えるんだから飛躍しまくりですよ。ネット見てても悪意やら怒りやらで酷いことになってるし。他人の問題に異常にどうこう言うし。人間なんてろくでもないよね(これも飛躍)。
一昨日、人って色々通じないとかわかってくれないよなとか思って苛立ったりしたのだけど、考えてる中ででもこれだけ大量の人間がいるのに、毎日大体の人は平和に暮らせてるのだから、普通に暮らせる程度には十分通じ合えてるってことで、むしろそれが奇跡的といえばそうだよな、と自分としては恐ろしいまでのポジティブな考えをしてしまった。訓練の成果が出ました!と喜ぶべきだろうか。冷静に見ると結構気持ち悪い、けど不快な思考が治まったのはまあよかったですが。
本ですが論理療法を実際にするということならこれよりも参考になるものが他にあると思います。