「人づきあいの技術」「排斥と受容の行動科学」

非コミュのための本、といっていいかわからないけど、以下の二冊が色々といいです、というか、客観的に理解するのに役立った。どちらも全編重要ではあるんだけど、特に8章が、個人が苦しくなってしまうメカニズムが研究とともに示されてます。

人づきあいの技術―社会的スキルの心理学 (セレクション社会心理学)

人づきあいの技術―社会的スキルの心理学 (セレクション社会心理学)

こちらは社会的スキル、という観点から適切な対人行動がどんなものかということや、スキルのあるなしがどう影響するか、といったことをテーマにしてます。
8「社会的スキルの不足がもたらすもの」で、社会的スキルとシャイネスの関係、社会的スキルの不足と孤独感の悪循環、といったものが取り上げられています。
排斥と受容の行動科学―社会と心が作り出す孤立 (セレクション社会心理学 25)

排斥と受容の行動科学―社会と心が作り出す孤立 (セレクション社会心理学 25)

こっちは他者や集団からの孤立や排斥がテーマ。
8「自ら孤立してしまう人たち」で、「拒絶感受性」という概念を用いて、それが強い人が拒絶に対して過剰反応してしまうとか、攻撃性を強めるといったことが説明されてます。自己評価が低いために他者からの好意を疑ってしまい、その結果拒絶されて一層自己像をネガティブなものにしてしまう下方螺旋、というのも。1,2,3ではもっと一般的に排斥や孤立が個人の健康に与える影響や心に与える苦痛、について述べられてます。
どちらもちゃんといちいち研究をあげてるし、その割りに平易で読みやすいと思いました。あと、同じような場合でも個人の認知や感受性の強さが傷付きや苦悩に関係する、ということとか、当人の認知と他人がどう評価しているかは異なる、という点も指摘されてる感じです。
あげた部分だけじゃないけど、自分の主観的体験にも当てはまるところが多かったし、これをベースに考えれば周囲とかコミュニティ全体で観察できるような人の動きにもなるほどという理解が得られるように思いました。それに社会的スキルのはこれからも役立てられそうです。認知行動療法の本なんかも読んでみたんですが、手元にはないけど、学習性無力感も対象に対処できる経験があれば払拭できる、といったことも書いてありました。
補足というか。以前のエントリで変わるしかないということを書いてしまってるけど、変わるといっても性格や振る舞いを大幅に変えるということではなくて、考え方とか、反応の仕方、という意味も含めてはいました。全人格的にのみ解釈されてたらまずいなあと思いまして。