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これ、ゲームなどによる暴力描写の攻撃性誘発の危険性とタバコの健康を損なう危険性それぞれについては根拠があるのだろうし、文句のつけようもないんですけど、「たばこの次に有害」って何ですか。

暴力描写の危険性は精神の健康だったり素行に影響する種類のもので、タバコの危険性は身体の健康に対するものなのだから、どちらがより危険っていうのは科学的言明にはなりえないと思うんですが。癌の次にうつ病が危険、とか言われてもよく分からないのと同じで(それらを原因とした死亡率、など共通の比較対象がある場合は問題ないのですが)。

で、これってつまり煽り目的のレトリカルな表現、と解釈すると、そういうことを言ってしまう研究者とか科学記事っていいんですか、と思うんだけども、どうなんだそれとか思ったところで、違う解釈を思いついた。

つまり、タバコとテレビ・ゲームが社会への普及率が大きいので、それらの有害性の社会的な影響力の度合いを、大体の目安で語っていると。それでも別に科学的な言明でないと思うけど、普通の言い方ではある。と考えると先ほどの憤慨は落ち着いたんだけど。

でも何か釈然としないよ、ゲームの危険とタバコの危険を比べるのって、て感じなので英語のほうを見てみた。

TV, film and game violence seen as a threat | Reuters

After reviewing more than 50 years of research on the impact of violence in the media, L. Rowell Huesmann, of the University of Michigan, and his colleague Brad Bushman concluded that only smoking posed a greater danger.

"Exposure to violent electronic media has a larger effect than all but one other well known threat to public health. The only effect slightly larger than the effect of media violence on aggression is that of cigarette smoking on lung cancer," he said in a statement.

Smoking, a leading cause of preventable death, is linked to lung cancer and other illnesses.

タバコに言及してるのはここのみ。メディアの暴力描写が攻撃性に寄与する効果よりも大きいといえるのは、喫煙が肺癌に寄与する効果ぐらいだ。って感じですかね。

それだとやっぱり社会的影響の度合いというよりは、それぞれの危険性同士を比べてるってことかしら。でもそれだと厳密に比較はできないだろうから、やっぱし多少レトリカルな表現ってことだよなあ。それとも「影響」をその種類を越えて比較できるような尺度か何かがまさかあるの?…わけないよねー、と根本的間違いをしている恐れをわずかに抱きながら言ってみる。

でも、何か英語版だと「これより危険なものがあるとしたらタバコの害ぐらいだ」って感じ(つまりタバコは暴力描写の危険を強調するための単なる例)に取れるのに、翻訳のほうはその辺が薄れてて、事実として「タバコのほうが暴力描写より危険度高い」って感じに読めてしまう危険が高いように思うのは気のせいですかね。あと「ゲーム」とか「仮想世界」とかに注目してしまいそうになるけど、基本「メディアによる暴力描写」である点を見逃していたのは完全に私の責任です、すみません。

とか、まあよくわかりませんけど。